甘いものは別腹と言いますが、実際に人やネズミには砂糖をお腹で欲する機能が備わっているらしいのです(Nature2020年4月15日号)。舌の味蕾で砂糖の味を感じて、それが脳に伝わるというのがこれまでの常識でしたが、それ以外にも、腸から脳への経路があることが証明されました。マウスは甘味を感じることが出来ないにも拘らず人工甘味料ではなく砂糖を好む傾向があることは不思議な現象として知られていましたが、どうやら腸がその鍵を握っているようです。砂糖が腸に届くと、それが腸から脳に届き報酬シグナルが活性化され快感を覚え、さらにはより食欲が増すようにシグナルが誘導されることがマウスの実験で明らかになりました。この、腸→脳経路は舌→脳経路とは違って人工甘味料でも果物のフルクトースでも全く反応せず、今のところ砂糖でのみ活性化されるようなのです。現在の人工甘味料は舌はだませても腸はだませないという訳でして、私たちが人工甘味料に物足りなさを感じて、ダイエットを諦めるのは仕方がないということが科学的に証明された訳です。ただ、この腸→脳経路をだますような人工甘味料が開発されれば、それが今後ダイエット商品の主流になってきそうな気がします。腸は神経細胞が豊富で”第二の脳”とも呼ばれるように奥が深い臓器です。