記事:重い毛布が不眠に効果

 A randomized controlled study of weighted chain blankets for insomnia in psychiatric disorders. J Clin Sleep Med. 2020;16(9):1567–1577.

  急に朝晩冷え込むようになって、少し厚手の寝具を出された方もおられると思います。今回紹介するのは、スウェーデンにあるカロリンスカ医科大学の研究グループからの報告で、重い毛布を用いることで不眠が改善し、その結果不安やうつ症状なども軽減するといった概要です。

  研究グループは2カ月以上不眠症を経験し、うつ病や双極性障害、不安障害、ADHDのいずれかの診断経験がある患者を被験者として実験を行いました。120名の被験者を無作為に60名ずつ2グループに分け、一つのグループは重さ6~8kgの加重毛布を、もう一方のグループは重さ1.5kgの普通の毛布を使用し、疲労症状や不安、うつ病指標を4週間にわたって評価しました。その結果、加重毛布を使っているグループは不眠が改善され、日中の活動レベルも高くなり、疲労・うつ・不安の症状が有意に改善されたそうです。重い寝具の身体への圧力刺激が自律神経の交感神経の興奮を減少させ、副交感神経を亢進させることによって、不眠を改善させるのではないかと推測していました。

  あまり重すぎると、呼吸による胸郭運動を阻害してうなされそうな気もしますし、日本人はもう少し軽い毛布でも良いのかもしれませんが、眠れないとお悩みの方はとりあえず試してみても良いのではないでしょうか。