記事:レム睡眠は食行動を調整する

REM sleep stabilizes hypothalamic representation of feeding behavior (PNAS Aug 11, 2020 117(32)19590-19598)

  REM睡眠中の神経活動と食行動について調べた論文が全米科学アカデミー雑誌に掲載されていました。

  REM睡眠については謎が多く、まだその役割についてはっきりとわかってはいませんが、哺乳動物では脳の外側視床下部という部位がREM睡眠中に高い活動性を示しているらしいのです。その活動が何のためにあるのか調べるために、その外側視床下部ニューロンの興奮を特殊な方法で抑え、どのような変化があるか観察し、REM睡眠の役割を調べたというのがこの論文の主な内容でした。

  結果、興奮を抑制したマウスではより少ない食物消費で済むようになるということが分かりました。どうやら、哺乳動物は覚醒時に安定した摂食行動をとらせるようREM睡眠中に指示を出しているということらしいのです。このマウスのようにREM睡眠中の神経興奮を何らかの方法で抑えることが出来ればヒトの食行動も制御できるかもしれないという話のようです。太古のように食を心配する時代が去って食を制御することが重要になってくるような飽食の時代がくるなんて、生き物として想定外だったのかもしれません。