記事:“汚い言葉”による痛みの緩和

Swearing as a Response to Pain: Assessing Hypoalgesic Effects of Novel “Swear” Words (2020.4.30 Frontiers in Psychology)

物を踏みつけたり足を家具にぶつけたりして突然の痛みを感じた時に、思わず汚い言葉を口にする人もいると思います。また、多くの人が経験的に「悪口を言っていると痛みが紛れる」と感じていると思います。

この研究で、被験者らは3秒に1回の間隔でそれぞれ決まった単語をつぶやきながら氷水に手を入れ続けるという実験を行いました。つぶやく言葉は「Fワード(汚い罵り言葉)」「中立的な単語(例:『solid』など)」「fouch(架空の悪口)」「twizpipe(架空のユーモラスな言葉)」のうち1つで、fouchとtwizpipeは研究チームがこの実験のために作り出した架空の単語でした。

実験の結果、架空の悪口をつぶやいた人は中立的な単語と同程度の痛みにしか耐えられませんでしたが、Fワードをつぶやいた人は痛みを感じる閾値が32%、痛みへの耐性が33%上昇したそうです。

一方で、なぜ悪態をつくことが痛みへの耐性を上昇させるのかについては不明な点が多く、まだ生物学的裏付けに至ってないようですが、とても身近で興味深い話でした。誰も聞いていなくても、ため込むより言葉にして表現した方がストレス緩和につながるということでしょうか。