Survival of the littlest: the long-term impacts of being born extremely early
Nature 2020年6月2日号の記事に興味深い記事が載っていました。妊娠28週間以前の早産児のその後の疾患リスクを調べたものでした。
医学の進歩もあって、1970年代に比べて1980年代、1990年代とどんどん重大な疾患を持つ児は少なくなってきているのは一つの事実のようです。ですが、やはり、身体的なリスクは減っているものの精神的な疾患のリスクはこれまでほとんど考慮されておらず、多くの早産児が問題を抱えていると言う報告のまとめ記事でした。
極早産で生まれた5,391人のうち、78%が思春期や成人期の早い時期に現れる何らかの症状を少なくとも一つ持っていたのに対して、満期産では37%でした。注目すべきは喘息以外には脳性麻痺や気分障害、不安障害、ADHD、精神遅滞など神経発達障害が想定外に多いということでした。スウェーデンの調査結果だけではなく、イギリスの調査でも19歳の極早産児の60%に何らかの神経心理学的領域の障害があることがわかっています。生命そのものへのリスクは年々少なくなり、極早産でも無事に成長するような環境になってきているものの、やはり脳神経系への影響はこれまで軽視されてきて対策すら立っていないのが現状です。これからは晩発の精神疾患にも着目したリスク管理が必要になってくる時代が到来するように思います。