記事:不眠による有害物質

Sleep loss can cause death through accumulation of reactive oxygen species in the gut (Cell 2020.06.11) 

睡眠は生物に不可欠であり、眠らない状態が数日間続くと、死にいたることは知られておりました。しかしながら、断眠と死の直接的な原因は未だ不明でした。今回の論文で、眠らないことによって、腸に活性酸素類(ROS: reactive oxygen species)が蓄積し、その結果、腸内の酸化ストレスにつながって、その毒性物質によって死に至らしめるということのようです。睡眠不足によって腸の毒性物質が蓄積するなんて、脳と腸の関連性の深さに驚いてしまいます。

面白いことにハエを用いた実験で、そのROSを取り除くことによって全く眠らなくても生きていけることを示しており、このことはもしかしたら、不眠を改善するのではなく、不眠によって起こる不都合なことを取り除けば寝なくてもすむというような、発想を変えた不眠の治療法ができるかもしれません。ただ、断眠によって引き起こされる不都合な現象は、特に複雑な脳をもつヒトでは、そのROSだけではないと思うので、そんなに単純にはいかないでしょうけれど。