記事:やせ遺伝子?

ステイホームが続き、ついつい食べ物を必要以上に買い込んでしまって、お腹周りに余計なお肉をつけてしまった方もおられると思います。私も例に漏れずその一人でして、患者さんから「あれ?この前と同じ先生ですか?」と言われたりもしました。ただ世の中には不思議とたくさん食べて特段運動もしていないのに太らない人もいます。

これまで多くの代謝系遺伝子の研究は、肥満と遺伝子との関係を調べていましたが、今回Cellに掲載されている論文は逆の発想で、痩せている人に焦点を当ててGWASと呼ばれる大規模なゲノム相関研究を行い、その結果候補として残った遺伝子の中からRNA干渉を用いた機能検索で、癌遺伝子として有名なALK遺伝子がどうやらやせ体型に関与していることを同定し、続いてALKをノックダウンしたマウスを作成し、検証の結果、そのマウスが食べても食べてもあまり太らないことを示しました。ALKノックダウンマウスではエネルギー消費量が高く、脂肪の分解が促進されることが要因のようです。これからALKの発現量を減らすようなダイエット薬が期待できるかもしれません。