記事:ダイエット薬??

朗報です。なんとありふれた薬が(とはいえ、ドラッグストアなどに売っている薬ではないですが)食欲を抑え体重を減らす効果があることが科学的に証明されました。その薬とは糖尿病に対してかなり以前から使われていて、そして低価格で知られているメトホルミンという薬で、不思議なことに最近、糖尿病以外でも脚光を浴びていて、老化を防ぐ効果があるとか、寿命を伸ばすとか、慢性疼痛の痛みを和らげるとか、古臭い薬と侮るなかれ、色んな角度から研究対象になっているアツい薬なのです。

  昨年末のNatureに投稿された記事に、メトホルミンはGDF15を介して体重とエネルギーバランスを調整するという内容が載っていました。GDF15というのはgrowth/differentiation factor 15の略で、ストレスに対して分泌されるホルモンであることが知られています。主に神経細胞に発現していて、そのホルモンレベルが上がると、食欲が落ちることが先行研究で既にわかっていました。この論文内で筆者らはメトホルミン服用患者においてGDF15レベルを調べて、服用患者でそのホルモンレベルが上がっていることを証明し、その結果を踏まえ、GDF15 のノックアウトマウスを作成し、メトホルミンがGDF15を介して食欲を抑えて体重減少に導いていることを証明しました。

  なんて素敵な薬なんでしょう、飲んでみよう、と考える方も多いかもしれませんが、かなり昔から流通されて比較的安全性が高い薬であるとはいえ、薬ですからもちろん副作用もありますし、現状では糖尿病の方しか服用できないことになっております。