記事:認知症治療の新たなターゲット

アルツハイマー病とリン酸化Tauの蓄積は相関していることはよく知られていましたが、重合したTauタンパクを細胞内に取り込むメカニズムはこれまで知られていませんでした。その役割を大きく担う物質を発見したとの報告がNature4月号に掲載されていました。この論文の中で筆者らは、ニューロン表面に存在する低密度リポタンパク質受容体(LDL受容体)の中の低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1 (LRP1)がTau取り込みの鍵を握っていることを証拠づけています。興味深いことにマウスの脳で、LRP1発現をRNA干渉を用いて抑制するとTauの蓄積が拡がっていくのを抑えられることを証明していて、このタンパクの発現抑制が今後の認知症治療のターゲットになりうるように思われます。いろんな候補が出ては消え、薬も開発されては消えの認知症領域ですが、治療に向けて少し明るい兆しが出てきたのではないでしょうか。