Dopamine pathways mediating affective state transitions after sleep loss. Neuron 2023.11 doi: 10.1016/j.neuron.2023.10.002.
徹夜の時の気分高揚は誰でも体験したことがあるでしょう。夜中にその時の気分で書いた文章は恥ずかしくて翌日にはゴミ箱直行だったり、徹夜で麻雀などをしていると大して面白くもないことにハマって大笑いとしたりなど、徹夜が気分を変容させると聞くと納得いく方が多いと思います。
今回紹介する論文は睡眠を完全に阻害することでうつ病の治療可能性を示したものです。マウスで睡眠を完全に阻害し様々なテストを行ったところ、ドパミン経路の刺激により、性的な活動性を含む活動性が高まり、さらに攻撃性も上昇することが示されました。ここから発展して、うつ状態も睡眠を完全に妨げることで大きく改善することがわかりました。
最近の論文では、睡眠不足と精神疾患の密接な関係が示されていますし、それはそれで事実だと思うのですが、一時的な睡眠断ちがうつ状態の改善につながる可能性があるということも興味深い事実です。ただ、まだまだ検証が必要です。持続的慢性的不眠は精神的不調の元になりますし、検証不足の現時点ではうつ病の方に徹夜を勧めはしないと思います…。