記事:脳脊髄液の注入が認知機能回復につながる可能性

Young CSF restores oligodendrogenesis and memory in aged mice via Fgf17. Nature 2022.05.11

最近、認知症と脳のグリア細胞に関して立て続けに報告がなされていて、今や認知症治療はこれまでのように神経細胞そのものや老廃物そのものを除去するのではなく、グリア細胞の機能改善へ方向を変えようとしているような潮流があります。今回紹介する研究論文は、若い脳脊髄液を注入することで、加齢によって失われたグリア細胞の一種であるオリゴデンドロサイトが復活し、認知機能を回復させるという内容でした。マウスの記憶が全て戻るという実験内容ではなく、一部の記憶が回復するという限定的なもので、もちろん、すぐさまヒトに応用できるわけではないでしょうが、認知症の治療方向性を示すきっかけになりそうな論文でした。