2月11日のStem Cell Reportsという雑誌にApple Peel and Flesh Contain Pro-neurogenic Compounds「りんごの皮と果肉には神経新生促進物質が含まれている」という記事が掲載されていました。英語圏では“An apple a day keeps the doctor away.”「一日一個のりんごで医者いらず」という諺があるらしいのですが、この論文はその諺から始まっています。お恥ずかしい話、僕はこれをりんごではなくトマトで覚えていて、この冒頭の一節で初めてりんごだと知りました。
それはさておき、この研究で筆者らは、りんごに含まれる「ケルセチン」、これはすでに抗酸化作用、降圧作用、抗腫瘍作用など人に様々な有益作用があることが知られているらしいのですが、そのケルセチンという物質に着目して、神経新生に影響を与えるか調べています。また、同様にりんごから抽出されたDHBA(ジヒドロキシ安息香酸)をマウスに与えて、その結果、海馬でより多くのニューロンが生成されていることを確認しました。神経新生は、抗うつ薬が抗うつ効果を発揮する一つの主要因として知られていますし、また神経新生が促進されることによって認知症の予防にも役立つ可能性があると考えられます。「一日一個のりんごで医者いらず」という諺は身体的な健康だけでなく精神的な面にも適応されるのかもしれません。ただ、面白いことにリンゴジュースでは思ったような効果は得られず、そのまま摂取することによって効果を発揮するらしいので、効果を期待するのであれば、りんごは皮のまま食べてみてはいかがでしょう。