記事:睡眠薬ベルソムラに認知症予防の可能性

  睡眠薬と認知症の関連については、これまで様々な議論がなされてきましたが、睡眠薬と認知症とは直接的な因果関係はないだろうというのが最近の論調です。ただ、これまで睡眠薬は認知症との負の関連があると言われてきて、それが浸透してしまっていて、なかなか認知症を予防するという報告がないために長くその誤解を解けずにいました。そんな中、ある種の睡眠薬がアルツハイマー型認知症の原因を取り除くような効果があるという論文が報告されていました。

  

  睡眠薬の一つであるオレキシン受容体拮抗薬ベルソムラを服用するグループと服用しないグループに分けて、まだ認知機能に問題がない45歳から65歳の被験者38人を対象として、アルツハイマー型認知症の原因であると言われているタウ蛋白のリン酸化とアミロイドβ濃度を計測したところ、ベルソムラ 20mg服用群にそれらの濃度を急速に減少させる効果があることが分かりました。

 

  睡眠薬に認知症の予防効果があることを示す報告はおそらく初めてであり、これから認知症の予防に睡眠薬が用いられるようになる時代がくるかもしれません。